おせんさん いいなあ -三宮にもかわいいおせんさんがいます-

連続ドラマは見なくなった私が、今一番楽しみにしているドラマ「おせん」。

今、見終わりました。
お客をもてなすということがどんなことかを考えさせられます。
ストーリー自体はシンプルなのですが、私の心を揺さぶります。

このもてなしの心を感じることができるからこそ、私は飲食店で食事をするのが好きなのです。

私に限らず、多くの方は、働いてお金を稼いでいます。
お金を頂くということは、とても大変なことです。
会社で営業をされておられる方は、身に染みて感じられているでしょう。

ビジネスにおいて、お金を払う側とお金を払ってもらう側は、法的には対等ですが、実際には、大きな上下関係があります。
お金を払う側の方が、圧倒的に力が上なのです。
なぜか。
特殊なものを売ったり、その人からしか購入できないものを買うのでなければ、お金を払う側には多くの選択肢があるからです。
別に、貴方から買う必要がないわけです。

だから、多少無理を言うクライアントの言うことを泣く泣く聞いたり、うつ病になるようなストレスをためながら、それでも生活のために仕事をするわけです。

別に営業だけではありません。
雇う側と雇われる側の関係も同じです。
法的には、経営者と労働者は全く対等の関係のはずなのに、実際には、経営者の方が圧倒的に力が上です。
それは、雇われる側が経営者からお金を払ってもらうからです。

もちろん、労働の対価としてお金をもらうのですから、頭を下げる必要もなければ、おべっかを使う必要もなければ、ありがとうという筋合いでもないはずなのですが、ひどい経営者でなければ、経営者に対して、感謝します。

私が法律事務所に勤めていた頃、経営者の弁護士が、「お金をくれる人はいい人」という名言を仰って、部下の弁護士や事務員に陰で馬鹿にされていました。
いや、軽蔑されていました。

もちろん、20代だった私も、弁護士のくせに、理念も何もない、3流以下の弁護士だと心の中で軽蔑しました。
他にもいろいろと弁護士らしからぬことをされる先生でしたので、確かに、軽蔑されてもしょうがないところがある方でした。

しかし、今、私はその先生の「お金をくれる人はいい人」という言葉を馬鹿にすることなど出来ません。
その後、雇われですが、会社の社長をやったり、取締役として会社の経営に携わることによって、学んだことは、「お金をくれる人はいい人」ということです。

別に、金の亡者が良いということではありません。
会社の経営を維持するには、お金が必要です。しかも、莫大なお金が必要です。
違法なことをやるのは駄目ですが、そうでなければ、必要なお金は、相手の人の靴をなめてでも、手に入れなければなりません。
会社経営とはそういうものです。

そして、役員として高い給料をもらうには、20万円の給料の人の何百倍ものストレスやプレッシャーに耐え、徹夜も厭わない重労働を何日も続けなければなりません。

確かに、給料が安いということは、不自由が多いですが、たとえば100万円の給料をもらうことも大変に不自由です。
プライベートも、心も体も全てをすりへらし、大げさではなく、命さえも削ってお金をもらうのです。

それでも、会社を維持するには、生活を維持するには、結局「お金をくれる人はいい人」と言わざるを得ないのです。
そこまでがんばっても、「お金をくれない人」の方が、世の中には圧倒的に多いわけですから。

それほど、人からお金をもらうということは、大変なことです。
こんなことは、まともに働いて、自分の力で生活を維持している方には分かりきった話ですよね。

人からお金をもらうということは、例え法的に対等な関係であっても、自分自身を何ランクも下に落として、頭を下げることを意味します。
それが仕事です。
だから、多くの人は休み明けに仕事に行くのが嫌になるのです。

飲食店で食事をすることの醍醐味は、そのような当たり前のレベルは当然のこととして、そんな低レベルな話ではなく、こちらがこの程度のお金を払うだけでは、申し訳ないと思うほどのもてなしを受けることで、本当に感動するところにあります。

別に、「おせん」の舞台になっているような高級料亭でなくても良いのです。
一人1,500円もかからないような、古くて、小さな居酒屋でも、もてなしの感動は味わうことが出来ます。
そんな料金設定でも、少し焼き過ぎただけの「するめ」すら、お客には、決して出さないそんなお店であれば、高級料亭と同じだけの感動を味わうことが出来ます。

これまでに、何百回と書かせて頂いていますが、飲食店では、決して、単に料理やお酒だけを
味わうわけではないのです。
そのお店の経営者を、そのお店の板長を、そのお店のソムリエを、そのお店の全ての従業員を、そのお店そのものを、味わうのです。

今夜の「おせん」はそのことを語っていました。
全くその通りだと思います。
私がずっと思い続けていることです。

その一人1,500円もかからない居酒屋のことは、以前、食べログで書かせて頂きました。
料金が自己申告制なので、80歳を越えたそのお店の経営者である女将さんは、いつもふとどきな客にお勘定を誤魔化されているのではないかと、私は心配しながら見ていました。

ある日、常連であろうお客が、勘定は880円だと言い張りました。
ビールを2本飲んでいるので、誰が見ても明らかに過小申告です。
さすがに他の常連が注意して、騒ぎになりかけました。

女将さんは、たった一言「みんな、いいよ、いいんだよ。お客さんが880円だと言っているんだから。」とにこにこしながら880円を受け取りました。

私は経営を少しだけかじっていますから、お勘定を誤魔化すお客を黙って許すことが正しいとは思いません。
私が彼女の立場だったら、一応、「ビールを2本お飲みになりましたね。」くらいのことは言います。
それでも、相手が納得しなかったら、その場は「分かりました。」とそれだけを言って、その代わり、その後、無銭飲食するようなお客は、出入り禁止にするでしょう。
商売が成り立たないからです。

しかし、彼女はそんなことはしませんでした。
一言もお客を責めることはしませんでした。
その後も出入り禁止などにはしませんでした。

経営としては、明らかに間違っていると思いながらも、私は彼女の姿を見ながら、感動して涙が出そうになりました。
決して、正統派のもてなしではありません。
正しいとも思いません。
しかし、なぜか感動してしまったのです。

女将さんの行為そのものが正しいとか正しくないとかではなく、女将さんのお客に対する「姿勢」というものが、はっきりと見えたから感動したのです。
そんな方が作られる料理は、美味しいに決まっているのです。
絶対に。
料理は、「客観的な味」だけを味わうものではないのです。

若い頃から、84歳まで、50年以上も寿司屋、居酒屋などの飲食店をやり続けておられる方は、客商売における「性根」が違います。
だからこそ、ずっとお店がつぶれることなく、今も現役でおられるのでしょう。

今夜の「おせん」と同じくらい価値のある話だと思います。

その居酒屋の名前は、

三代目

と言います。

三宮で小さく咲く綺麗な花です。

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とんしの「本当に美味いもん屋」 ※08’5.11更新

2007年ベストレストラン500軒コメント欄
※「食べログ」の「2007年ベストレストラン500軒」でコメントを書かせて頂いておりますので、よろしければご覧下さい。

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by direct3935 | 2008-05-14 00:07 | グルメ  

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