素材

料理の素材については、いろいろとご意見があるようです。
特に、鮨については、高級素材を使えば美味しいのは当たり前なのだから、その点に力を入れるのはいかがなものかという話があります。

しかし、私は、より良い素材であればあるほど、その素材を使いこなす技術があるのなら、基本的には、その分料理は美味しくなると思っています。

これは、競馬とよく似たところがあって、よく「馬7騎手3」と言われますが、そのようなことが料理についても言えるのではないでしょうか。
いくら武豊が騎乗しても、馬が強くなければ、レースには勝てないのです。

よく、素材に頼っていて、腕がついていかないという話を聞きますが、それも程度の差だと思います。
本当に、どうしようもない腕であれば、基本的には高級素材など扱えないでしょう。
そして、何よりも私は、そのようなこと言う方々が明らかに見落としている部分があると思っています。
そのような卓越した素材を選ぶには、当然目利きが必要です。
また、そのような素材を仕入れて、料理として出して、お店が商売として成り立っていなければなりません。恐らく、それが何を意味するかという点をご理解頂いていないのではないでしょうか。

高級素材を扱うには、それに対してお金を払うお客がついていないとどうしようもありませんし、それ以前にそのようなお店を開店できるというところに、そのオーナーの腕があります。
飲食店も商売である以上、まずは、そのような高級素材を扱えるお店を黒字で運営していくことができなければ、そもそも存在そのものがないのです。
テレビ番組ではありませんので、コストを考えず、番組制作の予算の範囲内であれば、どんなことでもできるということなど、飲食店の経営ではあり得ません。
道楽で、飲食店をやられている方も確かにおられるようですが、それは、例外中の例外で、どんな高級店でも、基本的には、それを生業としているわけです。

そのように考えれば、卓越した素材を使って常識的な値段で、料理を提供するということは、それもある意味では、腕、技術だと私は思っています。
そして、現実に素材の良さを十分に引き出した料理を提供しているのであれば、それはそれで凄いことであり、良い素材を使えば美味しいものができるに決まっているという話にはならないはずです。

また、競馬の話になりますが、「武豊は、強い馬にばかりのっているのだから、勝つのは当たり前。」などと言ったら、ほとんどの競馬ファンから、笑われるでしょう。
それは、あまりにも競馬を知らな過ぎる発言だからです。
逆なのです。
強い馬の騎乗依頼ばかりくる武豊がすごいのです。
厩舎やオーナーが、この馬で勝負をかけたいという時に、どうしても武豊にのって欲しいと頼むから、強い馬にのれるのです。
要するに、そのような状況を実績でつくり上げた武豊がすごいのであって、強い馬にばかりのっているから勝つのは当たり前などという話は、愚の骨頂なのです。

飲食店の料理についても、私はそのような観点から見ることができると思っています。
高級素材を使えば、美味しいのは当たり前という前に、高級素材を使えるというところに大きなポイントがあるのです。
そして、実際にお店が運営できているのであれば、そのような状況をつくり上げたそのオーナーがすごいのであって、当たり前などという話にはならないと私は思っています。

現に私の経験則から申し上げれば、びっくりするくらい凄い素材を使っているにも関わらず、料金に見合わない味というような料理には出会ったことがありません。
料金設定が高いにも関わらず、そこまでのレベルの素材を使っていないお店には、嫌というほど出会っていますが、その逆はないのです。
やはり、私は少しでも良い素材を使った料理を頂きたいですし、それは別に高級素材に限らず、料金設定の割には素晴らしい素材というレベルも含んでいます。

いずれにしても、神泉「小笹」で扱っているようなレベルの素材は、それを何回か召し上がったことのある方にしか、何をお話してもご理解頂けないかもしれません。
実際に召し上がっている方が、そのような素材に頼るような料理は嫌いだとおっしゃるのは、これは好みの問題ですので、ある意味ごもっともなことだと理解できます。
私と食に対する好みが違うというだけの問題です。

しかし、私がこのようなことをわざわざブログに書くのは、食の好みが違う方に何かを申し上げたいからではないのです。
私が、素材のことを言い続けるのは、そのような素材、そのような料理をいろいろと食べていないにも関わらず、想像だけで、わけのわからないことを言う方がいらっしゃるからです。
鮨に限りません。蕎麦でも、ステーキでも、全て同じです。
これまで食べてきたものはいったいなんだったのだろうと思うような経験を何度もしなければわからないことだと思います。

武豊は強い馬にのっているから何十回もGⅠに勝っているのではありません。
強い馬にのれる状況を自分自身でつくっているからこそ、何十回もGⅠに勝っているのです。

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by direct3935 | 2007-06-10 10:50 | グルメ  

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