肝胆相照らす

先日、ランチの時間をまともにとれる時があったので、三ノ宮駅のすぐそばにあるフレンチベースのフュージョン料理屋「肝胆亭」に伺いました。
2900円の「肝胆亭コース」を頂いたのですが、食材の良さを引き出す料理だったので、美味しく頂くことができました。
肉料理、魚料理が両方ともついたコースだったので、かなりお腹が一杯になりました。
ランチといえども、こちらのお店は、はっきりと客層が決まっているようで、比較的お年を召した上品なマダムの方が多いようでした。

噂によるとこちらのオーナーシェフは、大変個性的な方で、お客から見るとずいぶん好き嫌いの分かれるようですが、ランチでしたので、直接お話をすることはできませんでした。
非常にリーズナブルなお店なので夜伺って、ゆっくり話をしてみたいと思っています。洋食系で、オーナーシェフと仲良くなれるお店というのは、ほとんどありませんので、とても楽しみにしています。

ところで、こちらのお店の名前は、かなり変わっています。「肝胆相照らす」という故事から名前を取ったということですが、この言葉に相当思い入れがあるのでしょうね。
有名ホテルで、修行した方が、万難を排して始めたお店でしょうから、ネーミングにはかなり神経を使ったはずです。
お店の名前は、営業にも影響しますからね。

「肝胆亭」

あまりフレンチっぽくないお店ですが、お客と肝胆相照らして付き合っていきたいということでしょうか。
「肝胆相照らす」とは、韓愈の書いた

嗚呼、人は困った時にこそ、初めて本当の節義が見られるものだ。
普段、無事に村や街に住んでいる時には、懐かしがり悦び合い、酒食や遊びに呼んだり呼ばれたりして、大きな事を言ったり無理に笑い話をしたり、お互いに譲り合い、手を取り合って肝肺を出して相示し、太陽を指し涙を流して誓いをたて、生きるも死ぬも背かないと言えば、如何にも本当らしいが、一旦髪の毛一筋ほどの利害関係が生じれば、今度は眼を背けて知り合いでも無いような顔をしている。
落とし穴に落ち込んでも、一度でも手を引いて救ってやろうとしないばかりか、かえって相手を突き落として、上から石を投げるような真似をする者が、世間いたる所に居るのである。

という文章が語源のようです。

要するに、真の友情を求めた韓愈は、本当の友情を得ることの難しさを嘆いたのでした。
普段、楽しくお付き合いをして、飲みに行ったり、遊びに行ったりして、お互いに肝肺までも出して、涙を流しながら、生きるも死ぬも背かないとまで言って、誓いをたてていても、一旦利害関係が生じると、見知らぬ顔をしたり、手を貸さないばかりか、かえって相手を穴に突き落として、石を投げるような真似をする者が世の中に多いのだと悲しんでいるわけです。

語源からすると、「肝胆相照らす」仲でさえも、人は裏切るのだという意味になります。
まあ、肝も胆も人間にとってとても大切なものですから、それを見せ合えるほどの仲というのは、普通の間柄ではないということでしょうが、韓愈はそこまでの仲であっても、世にある友情などあてにならないと嘆いているようです。

私は、友情というものには、冷静なタイプなので、「ここまでの仲だったのに、なぜ裏切るんだ!」という悲しみを味わったことがありません。
要するに、すぐに「俺をお前は親友だ!生きるも死ぬも一緒だ。」というような友情の押し売りをするタイプの人と付き合うことがないので、逆に裏切られたという感情になることがないのでしょう。

世の中を見ていますと、やたら感情移入して、こんな素晴らしい友情はないとすぐに酔いしれるタイプの方は、逆に韓愈の文章のようなことが多いのではないかと思っています。
友情とは、私はやたらと口に出して表現するものではないと思っているので、お互いに「俺たちは固い友情で結ばれているよな。」などと口に出していっているのを拝見していると、嘘くさいなあと思ってしまいます。
そんなことを言っている人に限って、それこそ、利害関係が生じたり、何か問題が起こったりした時に、急に手のひらを変えて石を投げつけたりするからです。

だから、ある意味、困難な状況に陥るということは良い面もあるのです。
本当のことが見えるからです。
本当に、一生付き合っていくべき人は誰なのかというのがまる分かりになるのです。

「肝胆相照らす」

真の友情は、一旦、事が起こった時にその姿を現します。
虚の友情は、一旦、事が起こった時にその姿を消します。

今、静かにそんなことを思っています。

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by direct3935 | 2007-05-26 08:36 | グルメ  

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