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代替わり

どんな職業でも、職人技を伝える場合は、代替わりが難しいようです。
飲食店の場合もいろいろなことが言われます。
なぜか、代替わりをしたばかりの頃は、前よりも味が落ちたと言われてしまいます。
実際に味が落ちるということはあるかもしれません。
先代に比べて、経験が少ないので、その差は出るでしょう。
季節、気温、湿度によるちょっとした違いを料理に微妙に反映させることができるか。
常連の好みをきちんと把握できているか。
仕入れの目利きができているか。
お客に対する細かい配慮ができているか。
先代に比べて劣っている点は多いかもしれません。

しかし、マイナス要素ばかりとは限りません。
先代は、お年を召されておられることが多いでしょうから、若いご主人は、純粋に舌の能力は上の場合もあります。個人差はありますが、舌も肉体の一部なのですから、目や耳や鼻の能力が衰えていくのと同様に舌の能力も衰えていきます。
優れた料理人はこの事実をきちんと事実として捉えておられるので、逆に味が落ちるのを防ぐことができるのではないかと私は考えています。
また、飲食店は、仕入れの関係もあり、日曜、祝日を定休日にしておられるお店が多いので、自分以外のお店の味を研究するということが難しくなります。
その点、若いご主人は、比較的自由に他のお店を研究できたはずですから、新しい傾向や先代が考えつかなかったアイディアを活かすことができます。
そのような意味では、私はプラスマイナスゼロなのではないかと思っています。

確かに、古くからの常連にとっては、若いご主人には不安がつきまとうかもしれません。
実際に痒いところまで手が届かないかもしれません。
純粋にイメージの問題で、何か足りないと思うのかも知れません。
しかし、結果的には、そのご主人の力量の問題に落ち着くと思います。
そして、力量は努力でしかついていかないと思っています。
100mを9秒台で走る人もいれば、20秒かかる人もいるように、舌の感覚、料理のセンスというのは、持って生まれた才能も左右すると思います。
しかし、その人が育った食の環境もかなりの影響を与えます。
そして、料理人として成功するかは、やはりどれだけ研究をして努力をしたかにかかってくると思います。

かくいう私も、代が替わると正直、大丈夫かなと思うことがあります。特に先代が天才肌だと心配になります。
しかし、結局はお店を任されたご主人が、いかに努力するかで決まると思います。先代と違うアプローチで、先代に負けないお店をつくることはいくらでもできるのです。
古い常連も大切ですが、新しいお客さんも大切です。
職人の世界は本当に厳しいと思いますが、優れた食の文化が受け継がれていくことを心から望みますし、そのような立場におられる方々には本当にがんばって頂きたいと思います。

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by direct3935 | 2006-10-21 20:09 | グルメ  

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