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すき焼き その一

実は、私は「すき焼き」は「本当に美味しいもの」だとは思っていません。
上質の肉を濃くて甘辛いタレで食べる料理。
肉の旨みが殺されてしまうというのが私の考えです。肉を味わうのかタレを味わうのか分からなくなります。

「肉じゃが」などもそうですが、日本人はこの濃くて甘辛い味が好きなようです。醤油と糖分の混ざった味ですね。
ところが、この味で問題なのは、甘すぎる味付けのお店が多いことです。また、江戸の下町の味と謳っているところは、甘い上に味がかなり濃いですね。
このような味はよくご飯に合うと言われますが、本当に美味しいご飯であれば、明らかに米の甘みを分からなくさせてしまうと思います。

「すき焼き」というのは、幼い頃から外食で食べるものではなく、家庭で食べるものでした。小さい頃は、肉が好きだったので、よく夕飯ですき焼きを食べた記憶があります。
その時は、もちろんお酒は飲みませんでしたから、玉子につけた肉をご飯に絡ませて食べていました。
でも、なぜ、わざわざ濃い味付けにして、生卵に絡ませて食べるのだろうかと不思議でたまりませんでした。濃い味にするということに意味があるとは思えなかったからです。

大人になって、お店で「すき焼き」を食べるようになると、もはやこの疑問を拭い去ることはできませんでした。肉にしっかりと味がつくまで火を通すので、肉は硬くなるし、味は濃いし、どう考えてもタレの味を楽しんでいるだけとしか思えないのです。
甘くて、濃すぎると「吉野家の牛丼」の方が美味しいとさえ思ってしまいます。
その意味では、「吉野家」が偉大すぎるのかも知れません。
料理を作る側からすると、甘くするメリットというのはよくわかります。
まず、醤油の角がとれて、まろやかな味になります。また、甘くすればするほど、雑味を感じなくなります。はっきり言ってしまえば、一番ごまかしが効くのです
ところが、甘すぎる味というは、すぐに飽きます。濃くて甘いと人はすぐに食べるのに飽きてしまうのです。

ある飲み会で大学の後輩が、漫画の「美味しんぼ」でも「すき焼き」の話が描いてあったと言っていましたが、結局同じような理由で、「すき焼き」は美味しくないという話が載っているそうです。漫画では、魯山人の考えた、「すき焼き」と「しゃぶしゃぶ」のいいところを取った料理が紹介されているそうですが、どこへ行けば頂くことが出来るのでしょうか。
私は、肉が硬くならない工夫と、甘くて濃い味を上品に仕上げるという点が、ポイントだと思っています。

現時点では、「すき焼き」を食べたいと思うのは、赤坂の「よしはし」だけです。肉の質が素晴らしいというのが理由ですが、やはりあの甘さと濃さでは、100%の満足は得られません。どなたか、私の理想とする「すき焼き」を頂くことができるお店を教えて頂けませんでしょうか。

http://www.rak1.jp/one/user/11099447/

by direct3935 | 2006-06-04 18:01 | グルメ  

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