飲食店経営という経営 -食材のコスト-  No.289

前回書かせて頂いたように、飲食店経営においては、商品をどのようなものとして捉えるかということがとても重要です。
そして、経営を仕事としている私から拝見すると、この部分についての経営感覚が全くない方が多いのが飲食店経営者の特徴でもあります。
ある意味、飲食店経営を経営と考えておられない経営者が多いということです。

昔は、飲食店は、個人経営で、会社組織にすることがなく、他の事業だと株式会社を設立することが多かったと思います。
だから、飲食店の場合は、個人事業主ということで、経営という感覚を持たない方が多かったのでしょう。

しかし、現在のようにチェーン店が増えますと、やっと飲食店も経営するものだという感覚が浸透してきたように思います。
特に、未曾有の経済危機にあっては、飲食店も経営しなければ、すぐにつぶれます。

さて、今回はコストについて書かせて頂きます。

この部分も、飲食店経営者の多くが苦手としている部分です。
そもそも、マーケティングとかコストコントロールとかリスクマネジメントを学んだ方が、飲食店を始めるわけではないので、当然と言えば当然ですが、これらのことは、別に有名大学の商学部や経営学部で学ばなければならないわけでありません。
いや、むしろ、大学での勉強だけでは、実務では役に立ちません。
実際に、私は経営のことを偉そうに語りますが、それらのうちで、大学で学んだものは、たったの一つもありません。
全て、経験や社会人になってから読んだ本から学んだものです。そこから学んだものだけなのです。

したがって、飲食店経営者で成功しておられる方は、修行時代に、独立を考えて、そのお店の商売をちゃんと経営と捉えて勉強しておられますし、とにかく本を多く読んでおられます。
経営に関していつも私がお話していることですが、理論と経験は、両方とも同じくらい必要です。
どちらかに偏り過ぎる方は必ず大失敗します。
理論が経験による暴走を補い、経験が理論による融通の無さを補うのです。
だから、必ず両方とも必要なのです。

コスト。
これは、難しい問題ですね。飲食店の場合は、良い素材を使おうと考えると、いくらでも原価は高くなります。
それを全て価格に反映させられれば、問題ないのですが、ターゲットの客層を考えると、設定する価格は大きな制約を受けます。
そこで、そこそこの素材をいかに美味しい料理として出すかが、工夫のしどころとなるのですが、素材がそのまま反映してしまうような料理はどうしようもありません。

典型的なのが、刺身です。
だから、刺身が美味しいお店で、そこそこの料金のお店などほとんど存在しないのです。
美味しいと思うものは原価が高いからです。
唯一、原価が高くて一流の味がする刺身が出せるのは、立ち飲みしかありません。
回転率で勝負ですね。
恐らく、私が絶賛している「大安」は、「中トロ」や「てっさ」では、1品に対する利益は非常に薄いと思います。
しかし、回転率が良く複数のお店があるので、量を仕入れるという約束によって、一流のものを可能な限り安く仕入れることができるのでしょう。
それでも、安さには限界があるので、ギリギリの値段でお客に提供していると思います。

したがって、このようなコストパフォーマンスの高いお店では、料金設定が高いものほど、得する可能性があります。
「大安」などは、魚介類だけでなく、サラダなどを頂いてもかなり美味しいですが、このようなものは、どこの居酒屋で注文しても、同じような価格設定なので、このようなもので、利益を上げているのでしょうね。
また、お酒は安いと言っても、激安ではないので、それらで利益を確保しているのだと思います。

逆に言えば、「大安」だと、料金設定が比較的高い魚介類が一番、利益が少なく、まさに、普通に家で食べようとしても、決して同じ値段では食べられないものということなるのです。
わざわざ、外食をするのですから、お店やネットで購入して、家で食べられるようなものを出しても、経営が成り立つわけがありません。

例えば、私は家では、ミレーの無農薬野菜を食べていますし、肉は、神戸元町の鳥功食品で購入したものを食べています。
調味料も研究に研究を重ねて、自分自身が本当に納得したものだけを使っています。
お米も料金設定と味を勘案して、現時点ではベストだと感じるものを食べています。
紅茶も最高級のものを最高の水で飲んでいます。
毎日のことですから、料金に関しても、かなり考慮して、ギリギリ許せる範囲の値段で、その中で最高だと思えるものだけを食べているのです。

すると、わざわざ、外食で、普段食べている美味しい野菜よりも不味いものを食べたいとは思いません。
日本酒も焼酎も肉も米も紅茶も何もかもそうです。
そうなると、座って休憩するために入る飲食店以外は、家では食べられないもの、家では味わえない空間、接客を楽しむために、飲食店を訪れるのです。

家で、ここまで食材にこだわっている方は少ないかもしれませんが、いずれにしても、飲食店は、家とは違う何かがなければ勝負にならないわけです。
その意味では、飲食店経営は、ライバル店がどうのこうのというよりも、まさに自分との戦いなのかもしれませんね。

だからこそ、このコストの部分が極めて重要になるのです。
家では食べられないものを、いかに安く提供するか。
素人でも手に入るような素材を、いかに素人では絶対真似できない料理として提供するか、とても難しい問題ですね。

コンビニのお弁当が研究に研究を重ねて美味しくなり、料金設定が激安のハンバーガーや牛丼のチェーン店がどこにでも存在しているような時代に、家での料理の手間を無くすというコンセプトだけの飲食店が、今後生き残れるはずがありません。
まして、接客が悪く、お客のことなど考えていないような飲食店は、既に存在価値そのものが皆無なのです。

つづく

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by direct3935 | 2009-02-22 08:35 | グルメ  

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